1.2. 「科学技術の智プロジェクト」報告書の評価

「科学技術の智プロジェクト」では、科学技術リテラシーは時代と共に変わるものであるという認識を持っていた。

2011(平成23)年2月・3月には、7冊の専門部会報告書について、科学技術リテラシーの普及の一つの鍵となる小学校教育に携わる小学校教師とそれぞれの専門部会の代表者とで意見交換会を科学技術館で開き、それをもとに専門部会報告書についての改訂意見をまとめて公表した(日本科学技術振興財団,2011)。この意見交換会は、日本科学技術振興財団が事務局となり、「科学技術の智プロジェクト」メンバー約25名、小学校教師28名が参加して行われた。その報告書では、次のようにまとめられている。

「「テキスト」の内容・表現に関して、総じて難しいという意見が大半であった。半面、コラムなど、読物として興味を持った方もいた。具体的な意見としては、「用語・難解語・難読語がわからない」、「図解やグラフ・表が必要」、「具体例・実例が欲しい」、「学習指導要領との関連性や報告書内での一貫性が欲しい」など数多く挙がった。質的には平易な文章にし、身近な事象や題材を採り入れ親しみやすくしてから科学に誘導する、図解やグラフ、場合によっては動画を用いるなど直感的にわかりやすい表現を採り入れる、など、想定する読者を、前提となる知識を持たない一般人に合わせ、サイエンスライター等によるリライトが必要ではないかという結果になった。」

「すべてを読破し理解するのは時間的に非常に困難という、量的な課題も挙がった。これに関しては、内容を平易な表現に変える時点で分量が増えることが目に見えているので、扱う分野や分量を精選し小冊子化してシリーズ化を検討する、あるいは学習指導要領との関係で必要となるリテラシーをまとめておくなどの意見が出て、表現上の工夫が一層求められており、読んでもらうには興味を持ってもらい、わかりやすくする必要がある。小学校教員だけでなく、一般の人たちにも科学技術リテラシーを身に付けてもらうには「テキスト」を理解しやすく、あまり時間をかけずに読めるようにする改善が不可欠である。」

「全国の研修会などで教員に向けて講義する、直接小学生や中学生に対して語りかけるなど、本テキストの普及活動も必要ではないかとの意見も挙がり、今後の検討課題としたい。」

なお、この報告書では、科学技術館の人々によるICTの専門家4名(新井紀子国立情報学研究所 社会共有知研究センター センター長、久野靖筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授、原久太郎 イーテキスト研究所所長、三宅なほみ東京大学大学教育学研究科教授)へのインタビューをもとに、報告書作成におけるICTの利用について、「役立つテキストとして、必要な時に必要なものを探し出し、例えばグラフや音声として出力するなど紙媒体では不可能なデータ処理が必要と考えているので、ICT 技術の利用は不可欠である。」と述べている。

そして、その後の3.11によって、科学技術リテラシーにリスクを明示的に含める必要性が認識され、改めて、改訂案を作成する必要が出てきている。

これらのことから、「科学技術の智プロジェクト」報告書の今後の課題として、少なくとも次のことが考えられる。

①科学技術リテラシーのリスクリテラシーを含めた再構成

3.11で改めて認識された科学技術のリスクを含めて科学技術リテラシーを再構成する必要がある。「科学技術の智プロジェクト」の報告書にも、科学技術のリスクに関する記述は各専門部会報告書に散見されるが、全体としてそれらが構造化されていない。それらを包括する形でリスクリテラシーとして、科学技術リテラシーが再構成される必要がある。そのためには、リスクリテラシーそのもの、リスクリテラシーと科学技術リテラシーの関係などを考察する必要がある。

②科学技術リテラシーとしてのコンピテンシーやスキルの顕在化

科学技術リテラシーとして、科学技術の知識とともに、科学技術を考える方法などのコンピテンシー、スキルも含めることを考える必要がある。「科学技術の智プロジェクト」の報告書では、科学技術リテラシーとして知識、技能だけではなく物の見方なども含めるとしたが、結果的に、主として、その知識に焦点が当てられていた。しかしながら、例えば、経済協力開発機構(OECD)の生徒の学習到達度調査(PISA)では、科学的リテラシーとして、知識領域(内容)と関係する能力(プロセス)の両面が挙げられ、また、一般的には、OECDのキー・コンピテンシーや21世紀型スキル・コンピテンシーなども提唱されている。知識とともに、スキルやコンピテンシー、物の見方、考え方、態度などを顕在化させる必要がある。

③科学技術リテラシーの普及のためのコミュニケーションのあり方の再考

科学技術リテラシーの普及を考えるには、わが国におけるコミュニケーションのあり方を考える必要がある。科学技術リテラシーの普及の方策については、多様な方策が考えられてきた。しかし、その根本には、日本という文脈に深く依存した特徴、とりわけ一様性を強く求めるわが国におけるコミュニケーションの独特な様相が横たわっていると思われる。そのようなわが国のコミュニケーションの状況を明確にし、その上で、科学技術リテラシーのコミュニケーションを考える必要がある。

④科学技術リテラシーの育成のための学校教育との関わりの再考

科学技術リテラシーの育成における学校教育との関わり方を再考する必要がある。科学技術リテラシーの育成・普及にとって、学校教育は鍵となる。しかしながら、これまでの、科学技術リテラシーの育成・普及の議論は、生涯教育のしかもその一部である社会教育が対象となりがちであった。また、学校教育が対象となっても一部の生徒だけであった。わが国の教育そして学校教育の現状を踏まえて、生涯学習全体での科学技術リテラシーのあり方を考えることが必要である。

なお、生涯学習の視点から科学技術リテラシーを見る場合、学校教育期と成人期の教育の違いに目を向けておく必要がある。学校教育期においては、各国のナショナル・カリキュラム(わが国では学習指導要領)のように、ある一定の共通な意図した科学技術リテラシーを記述することが可能であるが、成人期においては、そのような共通の意図した科学技術リテラシーというよりも、成人期に遭遇する個々の課題にどのように立ち向かうかということから科学技術リテラシーが考えられるであろう。

 

主な参考文献

*印:JST 科学コミュニケーションセンターのサイトに掲載

(なお、以下のサイトは、2014年11月現在確認済み)

服田昌之(代表)(2006)『「科学技術リテラシー構築のための調査研究」サブテーマ2 科学者コミュニティや産業界等の国民の科学技術リテラシーに関する意見集約・類型化 報告書』お茶の水女子大学.(*)

科学技術の智プロジェクト(2008)『総合報告書』、『数理科学専門部会報告書』、『生命科学専門部会報告書』、『物質科学専門部会報告書』、『情報学専門部会報告書』、『宇宙・地球・環境科学専門部会報告書』、『人間科学・社会科学専門部会報告書』、『技術専門部会報告書』(*)

北原和夫(代表)(2006)『「科学技術リテラシー構築のための調査研究」報告書』国際基督教大学.(*)

長崎栄三(代表)(2006)『「科学技術リテラシー構築のための調査研究」サブテーマ1 科学技術リテラシーに関する基礎文献・先行研究に関する調査 報告書』国立教育政策研究所.(*)

日米理数教育比較研究会訳(2005)『すべてのアメリカ人のための科学』三菱総合研究所(文部科学省科学技術・学術政策局基盤政策課)AAASのウェブサイトに掲載されている。

http://www.project2061.org/publications/2061Connections/2008/2008-02a.htm

日本科学技術振興財団(2010)『小学校教員の科学技術リテラシーの修得・リフレッシュの実態把握‐理科を教える教員に対する調査‐調査研究報告書』(*)

日本科学技術振興財団(2011)『理科を教える小学校教員に向けた科学技術リテラシーのテキスト・情報の編集に係る調査』新技術振興渡辺記念会による科学技術調査研究助成金による研究.(*)

日本学術会議若者の科学力増進特別委員会(2005)『次世代の科学力を育てるために』

http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-19-t1031-9.pdf

日本学術会議科学と社会委員会科学力増進分科会(2008)『報告 21 世紀を豊かに生きるための「科学技術の智」』

http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-h64-3.pdf

日本学術会議(2010)『回答 大学教育の分野別質保証の在り方について』

http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-k100-1.pdf

 

資料1-1 科学技術リテラシーの概念・用語(注:数字は総合報告書の掲載頁である。)

Ⅰ.科学技術の本質

科学の本質 13-15
似非科学14, 科学13, 科学の可能性14, 科学の方法13, 科学の理論13, 仮説13, 観察13, 検証13, 好奇心14, 合理的判断14, 自己修正14, 自己否定14, 実験13, 宗教14, 説明14, 予測14
技術の本質 15-18
価値17, 技術15, 技術と生活16, 技術と人間16, 技術のブラックボックス化16, 共進化17,個別技術15, コミュニケーション18, 身体性18, 製造技術15, 制約条件17, 節約16, テクノロジーアセスメント17, デザイン17, トレードオフ17, モニタリング17, 要素技術15
数学の本質 18-21
演繹的推論20, 計算20, 言語20, 数18, 数学18, 数学的な正しさ20, 数理モデル20, 図形19, 抽象化19, 普遍的20, 文字20, 量18, 論理19

Ⅱ.科学技術の智:七つの扉

数理科学 24-35
アルゴリズム35, 一様分布33, 演繹的推論(証明)29, 演算28, 確率33, 確率論32, 関係30, 関数30, 幾何学29, 空間28, グラフ28, 計算35, 計量的性質29, 合同29, 誤差32, 座標29, 座標幾何学29, 算数24, 自然数26, 実数26, 十進位取り記数法27, 小数27, 数26, 数学24, 数学語34, 数学文化26, 数学リテラシー24, 数直線28, 数量化26, 図形 28, 図表示32, 正規分布33, 正比例30, 相関関係32, 相似29, 対称性29, 代数系28, 代表値32, 確からしさ31, 抽象的34, データ31, 統計学32, 度数分布33, 反比例30, 微分法31, 微分方程式31, 非ユークリッド幾何学30, 標本33, 比例定数31, 分数27, 変化30, 変化の様子31, 法則27, 母集団33, 文字式28, ユークリッド幾何学29, 有理数27, 離散量27, 量26, 連続量27, 論理的34
生命科学 36-48
遺伝40, 遺伝子40, 医療44, インフォームド・コンセント45, エネルギーの流れ41, 温暖化44, 核39, 学習43, 環境45, 幹細胞39, 教育43, 共生41, 魚介類44, クローン39, ゲノム40, 健康44, 原始地球37, 光合成37, 心42, 心の健康45, 個体39, 細胞38, 酸素37, 自己修復機能45, 自己複製システム37, 自然淘汰38, 持続性47, 疾病44, 社会性昆虫40, 主体42, 種の絶滅47, 食物連鎖41, 食料43, 進化38, 診断44, 生殖39, 生態系41, 生物36, 生物群集41, 生物圏41, 生物社会40, 生命36, 生命倫理46, 絶滅38, 畜産業43, 知性41, 治療44, デオキシリボ核酸(DNA)37, 二重らせんモデル(DNA)40, 人間中心主義的な生命倫理46, 人間非中心主義的な生命倫理46, 人間らしさ46, 農業43, 農耕43, 脳神経42, 発生40, ヒト36, ヒトの進化42, 病気44, 物質循環41, 文化42, 文明42, ホモ・サピエンスとしての倫理47, 緑の革命43, リボ核酸(RNA)37
物質科学 49-59
圧力53, 安全性58, 遺伝子工学56, 宇宙50, エネルギー4954, エネルギー効率54, 温室効果57, 温暖化57, 温度53, 化学変化53, 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)57, 金属55, クォーク51, 結合機構53, 原子50, 原子核50, 原子構造50, 元素50, 高温超伝導体56, 光子51, 高分子51, コンピュータ56, 材料57, 材料の再利用57, 磁気55, 磁性体55, 自然の中の基本的な四つの力53, 実験49, 質量52, 循環49, 人工物質56, 水素50, 生態系58, 生体物質56, 絶縁体55, 相変化53, 素粒子50, 中性子50, 電気的性質55, 電子50, 伝統文化としての物質系50, 長さ52, ナノテクノロジー56, 二酸化炭素57, 日本のエネルギー源57, ニュートンの運動の法則52, 場54, バイオテクノロジー56, 発酵食品56, 半導体55, 物質49, 物質の階層性50, 物質界の理解58, 物質科学リテラシー49, 物理変化53, 物理法則52, 分子51, ヘリウム50, もったいない思想49, 誘電体55, 陽子50
情報学 60-69
ICカード60, アナログデータ62, 拡張性67, 仮想化67, 近似62, 計算化の原理63, 高速化64, 高速性69, 誤差64, コスト62, コンピュータ60, コンピュータに載せる69, 仕組み(ソフトウェア)60, 自己増殖性69, 仕様67, 情報60, 情報科学技術60, 情報科学技術リテラシー68, 情報弱者66, 乗用車60, 精度61, 装置(ハードウェア)60, ソフトウェアの誤用66, ソフトウェアの階層化66, 多重利用法65, 抽象化67, データ61, データを区別する道具(ソフトウェア)66, デジタル化の原理61, 電子回路64, トレードオフ68, 2進列61, 汎用性64, プログラム63, プログラム化の原理63, メディア非依存性64, 利用技術60
宇宙・地球・環境科学 70-80
宇宙の誕生77, 宇宙の始まり80, 宇宙の膨張79, 宇宙背景放射80, 海72, オーロラ76, 温室効果気体71, 温度70, 海流71, 核融合反応74, 火山73, 観測技術76, 気圧70, 気候70, 気候変動に関する政府間パネル71, 京都議定書71, 銀河77, 黒潮71, 元素77, 恒星77, 黒点75, 暦77, コリオリの力70, 地震73, 磁場76, スペクトル観測79, 赤外放射70, 大気71, 大西洋72, 太平洋72, 太陽74, 太陽系76, 太陽風75, 太陽放射70, 大陸72, 大陸移動73, 地下資源74, 地球72, 超新星爆発77, 天気図70, 天気予報70, 天体の距離78, 天動説77, 南海トラフ73, 二酸化炭素71, 日本海溝73, 日本列島73, 年周視差78, ハッブルの法則79, ビッグバン79, 標準光源78, プレート73, プレート・テクトニクス73, 偏西風71, ボイル・シャルルの法則70, 貿易風71, 星の進化77, マントル73, 水の惑星72, 曜日77, 惑星76, 湾流71
人間科学・社会科学 81-87
因果関係86, 似非科学83, 快適性82, 科学史82, 科学社会学82, 科学哲学82, 科学論82, 価値観85, 環境81, 共通の素養82, グローバル・ヒストリー87, 経験知83, 言語能力85, 国際紛争86, 心84, 実証82, シミュレーション85, 社会現象85, 人工進化87, 心性84, 新生児84, 心理学83, 精神物理学83, 精神分析学84, 大気汚染86, 他者86, 知性83, トータルな人間像85, 人間理解83, 脳科学85, 発生論的な認識81, 発達85, ヒト83, 霊長類83, ロング・ショットの視点81, 論理的構成体84
技術 88-97
安全性95, 医薬品91, 科学的な考え方95, 賢い生き方90, 機械89, 技術の絶対視(リスクゼロ)95, 技術の知識92, 技術の方法95, 技術の利用に必要な能力95, 技術リテラシー89, 技術リテラシーの利点89, 原子力発電93, 工場・設備89, 最適化95, 事故95, 自動車93, 社会システム89, 社会の仕組み92, 社会発展への貢献91, 社会の未来像97, 人工物89,93, 制約条件95, 設計(デザイン)96, 食べる93, 電化製品90, 伝承92, 道96, 道具89, トレードオフ93, 人型ロボット90, フィードバック91, 物づくり92, 夢の実現89, 技88

  Ⅲ.科学技術の智の視点

近代的自然観と方法論
近代的自然観と方法論 99-106
一般相対性理論101, 運動の可逆性102, 運動の決定論性102, オッカムのカミソリ100, カオス102, 科学の総合化105, 科学の始まり99, 原子104, 原子構造104, 検証99, 光子104, 推論99, 妥当性99, 地動説100, 電磁波103, 天動説100, 特殊相対性理論104, ニュートンの運動法則100, 場103, 光102, 物体の落下99, 法則99, マイケルソン・モーレーの実験103, 力学法則100, 粒子104, 量子論104, 倫理性106
科学技術の転換をもたらして歴史的事実
人間についての科学的理解 107-109
似非科学109, 心108, 深層の心107, 心理学107, 知性107, 脳科学108
情報処理革命 109
インターネット109, 組み込みコンピュータ111, コンピュータ109, 電算化109, 日本語処理110
ナノテクノロジー 111-113
トップダウン方式112, トランジスタ111, ナノメートル・スケール111, ボトムアップ方式112, 量子力学112
生命の仕組みの解明と操作技術の開発 113-115
DNA二重らせんモデル113, ゲノム科学・遺伝子操作技術114, 生殖発生生物学・胚細胞操作技術114, 生命操作114, 脳科学・高次脳機能解析技術115, 培養技術113, 微生物113
宇宙モデルの確定 115
宇宙の年齢116, 宇宙論的パラメータ115, 進化宇宙モデル115, ダーク成分117, ビッグバン宇宙モデル115
地球環境についての科学的理解 117-119
アジェンダ21(リオ宣言)118, オゾン層破壊117, 沈黙の春117, 化学物質117, 気候変動に関する政府間パネル118, 総合的な科学智の形成119, 地球環境問題117, ローマ・クラブの『成長の限界』118
現代の科学技術の考え方
総合的視点に立った選択 120-121

環境配慮行動120, 最適化120, 設計121, トレードオフ120, 費用対効果120
多様性と一様性 121-123
一様性122, 遺伝子122, 言語123, 進化理論122, 多様性121, 分類121
可視化 123-125
概念地図124, 概念の可視化124, 3次元コンピュータ・グラフィックス(CG)125, 自然言語処理125, 多次元グラフ123
スケールとサイズ 125-127
宇宙の時間的歴史126, 指数表示125, 地球の歴史126, 物質の微細構造126
多量データ高速処理のアルゴリズム 127-129
アルゴリズム129, コンピュータ127, しらみつぶし127, 多量デジタルデータ127, データマイニング129, パターン抽出128, 反例さがし127
科学と技術の相互貢献 129-130
科学研究の動機129, 技術開発130, 技術の目的129, 基礎科学130, 設計科学130, 認識科学130
科学的な態度・センス
科学的な態度 131-136

懐疑力131, 科学者共同体134, 公開性134, 好奇心131, 公共性135, 暫定性133, 自己限定133, 批判力131, 理論的・数的志向性132, 論拠・証拠依存性132

Ⅳ.科学技術の智の活用:四つの話題

水 139-165
海に吸収される二酸化炭素149, 海水147, 仮想水143, 気象変化と水149, 原始生命の発生161, 原始地球の大気の再現実験160, 原始の海160, 光合成155, 酵素157, 氷による気温調節150, 氷による水位調節150, 磁気共鳴画像法(MRI)145, 上下水道144, 植物と水155, 森林144, 水質汚染146, 生活用水141, 生態系158, 西洋における水の認識164, 淡水化145, 超純水145, 電子レンジ145, 動物と水156, 日本における水の認識163, ヒトと水157, ヒトの腎臓の働き157, ヒトの組織中の水157, ヒトの水の摂取量157, 表面張力152, 水カッター145, 水資源141, 水と生命の星(地球)の誕生158, 水の三状態150, 水の大循環147, 水の分子150, 水不足140, 溶解153
食料 166-182
牛海綿状脳症(BSE)177, 栄養素181, 栄養バランス175, 化石燃料169, 家畜169, 家畜の飼料169, がん175, 禁煙175, 残留農薬180, 消費期限182, 賞味期限182, 食育171, 食事の基本177, 食中毒179, 食品166, 食品循環資源の再生利用172, 食品添加物180, 食品の安全177, 食品の廃棄172, 食品の表示違反181, 食品の品質182, 食品のリスク177, 食用以外の用途168, 食糧166, 食料自給率170, 食料消費支出181, 食料の分布168, 食料不足168, 水産業167,生活習慣病173, 世界の食料166, 世界の人口166, 畜産革命169, 地産地消171, 日本人の平均寿命173, 日本人の平均的食生活168, 農業166-167,バイオ燃料169, バイオマス169, フードマイレージ170, 緑の革命166, 用量作用関係180, リスクコミュニケーション178, リスク分析177
エネルギー 183-201
位置エネルギー184, 運動エネルギー184, 永久機関187, エネルギー自給率194, エネルギー資源194, エネルギー消費190, エネルギー単位186, エネルギーの質187, エネルギーの変換183, エネルギーの利用183, エネルギー変化187, エネルギー変換効率189, エネルギー保存則(熱力学の第一法則)185, エネルギー輸入依存度196, エネルギー利用効率197, エントロピー187, エントロピー増大の法則(熱力学の第二法則)187, 温室効果200, 温度188, 化学エネルギー184, カロリー186, グルコース191, 原子核エネルギー184, 光合成190, 呼吸191, ジュール186, 省資源・省エネルギー197, 生産に必要なエネルギー193, 世界のエネルギー資源消費194, 摂食190, 相対性理論201, 代謝191, 代替エネルギー資源197, 地球温暖化問題200, 地球の熱エネルギー198, 電磁気エネルギー184, 動物のエネルギー使用量192, 日本人のエネルギー消費量196, 日本のエネルギー供給量195, 熱187, 熱エネルギー184, 熱機関189, ヒートポンプ189, 光エネルギー184, ヒトに必要なエネルギー192, 物質と光の変換201, 力学エネルギー184, 粒子188
地球と人間圏 202-208
科学と技術という社会装置204, 科学と技術の蓄積と展開208, 新エネルギーの開発208, 人口増加207, ストック204, 生物圏204, 生命圏203, 総資本207, 総資本増加207, 大気システム205, 地球202, 地球システム205, 二酸化炭素208, 人間202, 人間圏203, 人間圏の巨大化204, 人間圏の持続的な発展206, 人間圏の地理的な境界203, ヒートアイランド207, フロー204

Ⅴ.人名

アイザック・ニュートン(1643~1723)13,100
アルフレッド・ウェゲナー(1880~1930)72
アルベルト・アインシュタイン(1879~1955)75,96,101,103,116
ガリレオ・ガリレイ(1564~1642)13,70,99,126,204
ジェームズ・ワトソン(1928~)40,113,122
チャールズ・ダーウィン(1809~1882)38,83,107,122
長岡半太郎(1865~1950)50,104
フランシス・クリック(1916~2004)40,113,122

 

資料1-2 科学技術リテラシーの継承と共有に関する具体的な方策についての意見

1.科学技術の智プロジェクトの継続的活動
(1)組織
①普及・定着活動を推進する恒常的組織を設立(または移管)する。
②継続的活性を持つ事務局機能を作る。
③公的支援が必須要件である。
④活動の結果について、評価を受ける。独善にならないために、外部からの批判構造を作っておく。
(2)内容
①科学コミュニケーションの成功事例をプラスインパクト情報と名づけて収集・分析して発信する。
②普及対象を明確にして,その対象セグメント毎またはその全体意見交流会を実験や実習等を適宜混ぜながら行う。
③ターゲットとする読者層ごとに、報告書をリライトした「メディア(とは言っても、書籍が核になるだろう)」を創る作業を、オープンな環境で開始する。
④大学における研究と初等中等教育を結びつける努力をする。
⑤科学技術リテラシーの測定を実施する。

 2.科学技術の智プロジェクトの成果の普及
(1)普及
①報告書を出版社から刊行する。
②報告書をWeb上で配付する。
③要約版を作成する。
④やさしく書いた「翻訳本」を作り、一般書として、市販する。
⑤科学技術リテラシーをテーマにしたPodcastを作成し配信する。
⑥WEB上で公表する際に、検索エンジンMIMASeartchを同時に備える。
⑦国会議員全員に対して、「本報告書」とともに、「executive summary」を兼ねた「丁寧な送り状」を送付する。主要経済団体の役員に対しても、同様のものを送付する。
(2)方略
①情報の発信方法に多様性をもたせる。立体的に作業を進める。
②広報戦略を作成し,政府,行政,大学,企業,マスコミ,学校教育関係者等への普及活動を幅広く行う。
③文芸関係の人に科学技術リテラシーについてエッセイを書いてもらう。
④教育に反映する努力が必須である。

3.科学技術の智プロジェクトの報告書の改訂
(1)対象
①多くの異なる読者を想定した様々な資料を刊行する。
②七つの部会報告書を適用対象(個人、一般社会人、職業人など)を明示して基調を同じようにする。
③一般社会人、NPOメンバー、小中高の教員などを対象にする作業を行う。
④小学校教員向け、中学生向け、理系研究者・技術者をめざす高校生のためのAP用テキストを作成する。
⑤「小学生版」を制作する。
⑥小学校の教員が最大の鍵である。一般向けの報告書のレベルは、平均的な小学校の先生が理解可能な範囲にとどめるとともに、小学校の先生を含む普通の日本人市民が興味をもてるように理解しやすい興味深い事例をたくさん入れることが必要である。
(2)指針
①幅広く受け入れられるためには、主観や主張であると誤解されないような表現に直す。
②幅広く市民に読まれるために広報対策の前に分かりやすい流れにする。
③公開後、後悔することがないように、他の著者が述べたことでも遠慮をしないで編集する。
④「本報告書」の位置付けを確立した物とするべく、一層の努力を続ける。
⑤部門間の形式・内容についてのリライトを行い,読者の読みやすさを実現する。
(3)方向性
①リテラシーの論理をより深め、同時に、リテラシーの内容を詰める。
②方法的能力としてのリテラシーという視点を考える。
③政界・財界・産業界からの視点を入れる。

4.国・行政機関に向けて
①国は技術立国についての明確な中長期ビジョンを策定する。
②文部科学省は在野の科学者、技術者を教育現場(学校、科学館、カルチャースクールなど)とリンクする仕組みを構築する。
③JSTが,「すべての日本人のための科学技術リテラシー」の内容を実現するためのプロジェクトを募集する。
④何か問題が起きたときに,そのために必要な情報,社会で共有すべき情報を特定し,それを広めていく,という恒常的な「社会とのコミュニケーション・センター的なもの」を常時持つようにする。

5.学校教育に向けて
(1)小中高校の教育
①学習指導要領と「科学技術の智プロジェクト報告書」との関連を示す解説書を出す。
②理科のカリキュラムおよび教科書を徹底的に見直し、その際、科学の本質を伝えるようにする
③国語・社会教科書に理科関連教材をもっと導入する。
④小学校の理科授業の補助講師を採用する。
⑤小中学校で理科授業において探究的な工夫をする。
⑥ジュニアオリンピック、科学オリンピックを活用する。
⑦高等学校における文系・理系コースを廃止する。
(2)大学の入試と教育
①大学入試の暗記問題を極力少なくするなどの改革を行う。
②大学入試の科目を増やす。
③AO入試を検討する。
④医・薬・農等の入試において物・化・生を必修とする。
⑤大学における教養教育を復活する。
⑥大学の一般教育課程(教養課程:現在は無いが)を再構築してそこに科学技術リテラシーを必須科目として埋め込む。
⑦大学教育特に理系の学生が身につける一般教養として、「科学技術の智プロジェクト報告書」をテキストに使う。
(3)教員
①幼小中高の教員を対象とした科学技術リテラシー教育・研修を行う。
②小中高の理科の教員の一般教養の研修に「科学技術の智プロジェクト報告書」を使う。
③学校教育関係者に対する普及活動は,国立教育政策研究所を中心とした活動計画を作成し,全国の教育センター等を通じた普及を目指す。
④教員自身の科学に対する理解力・学力を向上させる方策(資格レベルの格上げ、研修等)を抜本的に改善する。
⑤教員の大学院再教育を行うとともに、オーバードクターを教員として採用する。
⑥教員の待遇改善を図る。

6.科学館等に向けて
①自然系博物館(自然史・理工・生物館園・ビジターセンターなど)における活動を活用する。
②科学館/博物館/プラネタリウムを親しみやすくする。
③科学と社会をつなぐサイエンスコミュニケーターの一般教養として「科学技術の智プロジェクト報告書」を使う。
④全国の科学技術館等の館員の一般教養として「科学技術の智プロジェクト報告書」を使う。
⑤コミュニティー活動を中心とするサイエンスカフェや科学クラブ、博物館や美術館、科学館他の既存組織・団体の活動を連携強化する。

7.家庭に向けて
①テレビ番組や科学雑誌で家庭での「科学の場」を増やす。
②小中学生とその保護者に対して(親子教室などで)働きかける。

8.生涯学習に向けて
①幼年期から時間を掛けて科学技術リテラシーを育むようにする。
②学校外の科学技術リテラシー育成プログラムを充実させる。
③科学技術リテラシーを介して企業等と提携する。
④企業や財団が,「すべての日本人のための科学技術リテラシー」実現に協力をするための枠組みを作る。
⑤自然科学関連の学会等の大会で,シンポジウムなどを一斉に行ってもらう。
⑥科学報道・科学記者を充実させる。
⑦官庁・会社等において理系出身者を重用する。
⑧何をするときにも「ちゃんと責任を持って,理解してもらう=コミュニケーションをとる」ことに真正面から取組む。