2.2.ⅳ.「日本における科学リテラシー」を育むには

このように俯瞰してみると、日本の国語教育のあり方と日本のコミュニケーションのあり方とはそれなりに一致している様子も伺える。テキストとの対峙から学ぶ際には、教師対生徒の関係では教師が上位者、生徒が下位者の立場となるが、これは日本社会のキーワードである「垂直性」が反映された形であるといえる。また、自己陶冶のための学びは、もう一つの日本社会のキーワードである「同質性」を踏まえた形での学びであるといえるし、万が一そこで何らかの批判を行うとしたら、間違いなく「高コンテキスト・コミュニケーションスタイル」が取られるであろう。意見の一致を指向する学びは正に「同質性」を重視した学び以外の何物でもない。

先生が知っている正解をみつけようとする「正解のある智」に慣れており、学級全体の意見一致が望ましく、他人の考え方自体は直接批判しない、という「同質性」の前提に基づいた「和の精神」に長けている日本の智のあり方を踏まえた上で、高コンテキスト・コミュニケーションスタイルが主流であり、「説得」より「感得」を目指した「感情論証」型のコミュニケーションが行われる日本の社会において、科学リテラシーを育むには、どうすれば良いのだろうか。

星・長崎ユニットのディスカッションの中で出ていた、「日本人はディスカッションが苦手である」という事項については、先にみた国語教育の在り方に鑑み、概ね的を射ているのではないかと思われる。教育プログラムの中で他人を批判しないというということは、他人に対する批判の仕方を学ぶ機会がないことにつながるし、批判を受ける方法を学ぶ機会がないということでもある。「日本人は議論をしようとすると論題から離れて相手を非難してしまう」であるとか、「日本人は批判されると自分の考えのみならず人格全体を否定されたように捉えてしまう」とはよく指摘されることだが、これは上記で見た通り「批判の仕方」や「批判のされ方」を学んでいないことも原因であろう。このことは、特に、学校教育を離れた場面(例えば国際学会など)で、きちんと噛み合った議論ができるかどうかという点で問題になると思われ、むしろ科学者の科学リテラシーという面で重要な点ではないだろうか。

一方、「正解のある智」を学ぼうとする姿勢は、知識的な面の科学リテラシーを育むにはむしろ好条件であるといえる。この点は2012年のPISA調査で科学リテラシーにおいて日本がOCDE加盟国内でトップの成績を修めたことにも表れているともいえる。この面においては、これからも今までの学びの在り方を活用する方法は考えられて良いと思う。しかしながら、科学リテラシーは知識的な面だけではない。星・長崎ユニットで問題にしているのは、論拠の信憑性に関する判断や基準値の考え方など、「科学的な思考」そのものの「リテラシー」をどう育むかという点であった。これは「正解のある智」から学べるものではないことは明らかである。

ところで、先にみた通り、日本の国語教育ではかなりじっくりとテキストに対峙する指導を行っている。それならば、「テキストの精読」を通して、これらの考え方を教えることはできるのではないだろうか。その際、吉武(2011)が指摘しているような形でテキストを神聖視するのではなく、敢えてテキストに対して批判的な目をもてるように、「反面教師」的なテキストを読ませることも十分効果的であろう。

実は、先に紹介したアメリカの国語の指導基準の中には、正にこのような項目が含まれている。

説明的な文章の読みに関する指導基準

6年生:論理的な根拠や証拠のある主張とそうでないものとを区別しつつ、テキストの中の論旨や個別の主張を明らかにし、評価する[1]

7年生:論証が妥当であるか、関連する十分な論拠によって主張が支えられているかを見極めながら、テキストの中の論旨や個別の主張を明らかにし、評価する[2]

8年生:論証が妥当であるか、関連する十分な論拠が示されているかどうかを見極めながら、テキストの中の論旨や個別の主張を明確化させて評価する。関連のない証拠が導入された場合にそのことに気付く[3]

9年生-10年生:論証に正当性があるか、関連のある論拠が十分に示されているかどうかを見極めながら、テキストの中の論旨や個別の主張を明確化させて評価する。誤った所説や論理的不合理がある場合はそれを指摘する[4]

このような指導を、日本の教育現場でも実施できないだろうか。日本の国語教育でも、テキストの批判までは視野に入っている。実際、先にも挙げた通り、「現代文B」の中には「文章の構成、展開、要旨を的確にとらえ、その論理性を評価することに関する指導事項」として、「文章を読んで、構成、展開、要旨などを的確にとらえ、その論理性を評価すること」(p. 53)という項目が記されている。例えばこの項目に該当するものとして科学的リテラシーを高めるような文章を読み(望ましい論証形式で書かれたものを読むのであっても、論証がおかしいものを敢えて読むのであっても構わない)、その論理構成の是非を評価したり、論拠の出し方について批評したりすることは十分可能であろう。そのような観点からテキストを読む訓練を積めば、現在日本で行われている国語教育のあり方や範囲を根本的に変えなくても、科学的リテラシーを学ぶことができる可能性は十分にあると思われる。これは各教員の現場での実践で実行可能であるという意味で、比較的即効性のある方法ではないだろうか。また、教科書を作成する段階でこのような観点を取り入れることができれば、更に実効性が高まるのではないかと考えられる。

さて、日本の国語科の教育の中では「論破されて得る智」がほとんど活用されていないことがわかったが、このこと自体は悪いことであるとは決して言えない。このグローバル化時代だからこそ、意見の一致を得ようとする努力はますます大切になるだろうし、日本の社会自体がそのような基盤に依って立っているとさえ言えるものを、破壊しようとする意図は筆者にはない。その意味では国語教育の中ではこれからもその指向性は保たれて良いと筆者は考える。一方、科学的リテラシーを育むという観点から、目の前にいる相手と議論を戦わせることによって得られる智もあるのだということを知る必要があるのなら、そしてそのような智を得るための方法を学ぶ必要もあるのなら、それを実現させるためには国語科だけでは無理であろうことも、想像に難くない。

ここで、討論を取り入れた授業とはどのようなものなのかを確認するために、岡田(1998)がまとめた「教授授業」と「討論授業」の対比を挙げておく。

表2-2-6 「教授授業」と「討論授業」の比較

 岡田(1998)はこの対比を挙げた後で、次のように述べている。

教授授業では、真なる物事は教師の頭の中にあらかじめ存在し、教師の語りを通して、そしてそれを復唱することによって、それが子どもの頭にも伝達される。永遠の、既存の真理を伝えるのが教育である。

討論授業では、そうした既存の真理は前提とされない。完成した真理把握は教師においてさえも存在しない。各メンバーは自分のパースペクティブからする真理像を、超越的な尺度によって正誤を問われることなく語ることができる。各人はこのように、その認識のそれなりの真理性が認められているが、それはあくまで討論の場でより確かな真理が発見されたり、生み出されたりしたときには、それを受け入れる用意がある限りのことである。ここでの真理は生成しつつある真理であり、これに関与する主体は全員がその正当な貢献を認められると同時に、自己変容へのしなやかさも求められるのである。同意あるいは不同意の表明や多様な答えの可能性というのは、こうした事態を表している。(pp. 137-138)

まずは、このような討論式の授業が、科学的リテラシーを育むために有効であるかどうかを改めて問い直す必要があろう。もし「正誤のない智」が科学的リテラシーの中で根幹的な部分を占めるのであれば、討論型の授業は有効であるといえるだろう。そして、討論授業が科学的リテラシーの育成に効果的であるにも拘わらず、国語科だけではできない現実があるなら、対応策としては教科横断的なアプローチしか考えられないだろう。実は、学習指導要領全体の中で「討論」という語が出て来るのは、小学校では「国語」と「総合的な学習の時間」で1か所ずつ、中学校では「国語」で2か所、「道徳」で1か所、「総合的な学習の時間」で1か所のみである[5]。高等学校の学習指導要領の中でも、「討論」という語が出現する教科は、「国語」(2か所)、「地理歴史」(4か所)、「公民」(1か所)、「外国語」(2か所、但し1か所は「対話や討論などを聞いて」、もう1か所は「討論のルール」という文脈)、「総合的な学習の時間」(2か所)の5教科のみである。このことからは、「数学」や「理科」といった、科学的リテラシーの育成に最関わりが深いと思われる教科の中には「討論」が組み込まれていないことが伺える。辛うじて「理科」の学習指導要領解説の中の「『理科課題研究』の内容とその範囲、程度」のところに「課題解決のための計画については、研究の質を左右するばかりではなく、解決の見通しや研究の方法にかかわるものなので、生徒との話合いを十分に行い、具体的なものになるよう指導する。また、生徒同士の討論を行わせることも重要である。」(p. 120)という記載があるが、「討論」が出て来るのはこの1か所のみである。「数学」においては学習指導要領解説の中にも一度も出てこない。

また、国語という教科の中でも、もっと積極的に「討論」という形を推奨して良いのではないか。中学校第3学年の「話し合うことに関する指導事項」の解説の中には、このように書かれている。

話合いは、情報の交換や意見の調整を通して新たな価値を創造したり、一定の合意を形成して物事を決めたりすることを目的として行われる。「互いの考えを生かし合う」とは、それぞれがもっている情報や意見を基にしてよりよい結論を求めることに加えて、ある結論や決定に至った場合にも、少数意見を尊重したり、どこまでが一致してどこからが違うのかを確かめ合ったりすることなどを意味している。(p. 88)

一方、高等学校の「国語表現」の中の「異なる考えを尊重し、課題解決のために話し合うことに関する指導事項」には、「相手の立場や異なる考えを尊重して課題を解決するために、論拠の妥当性を判断しながら話し合うこと」(p. 38)への解説(再掲)として、次のように記されている。

「課題を解決するため」の話合いでは、話し、聞くという双方向性を有する活動を通して、合意を形成することが求められる。その際必要となる、相手の立場や考えを尊重することは、「国語総合」の「A話すこと・聞くこと」の(1)のウで指導している。ここでは、それを踏まえ、「異なる考えを尊重」することとしている。社会生活においては、自らのものの見方、感じ方、考え方を単に主張するだけではなく、自分とは異なる考えを丁寧に聞き、それを尊重することも大切なことである。

「論拠の妥当性を判断」するとは、相手の発言を聞いて、その根拠となる事実、判断の拠り所、話の筋道などの妥当性を判断するだけではなく、自ら述べようとする意見や主張についても、なぜそうした論理の展開が可能なのか、その論理を支える根拠は適切であるのかなどを不断に判断することも指す。このことが、他者の視点に学びつつ自らの考えを確かなものにすることにつながる。(pp. 38-39;下線は筆者による)

既に述べた通り、中学校で一旦「どこまでが一致してどこからが違うのかを確かめ合ったりする」とされていたにも拘わらず、高等学校で再び「合意を形成することが求められる」とされるのは何故なのか。更に、同じ「国語表現」の「言語活動例」として挙げられている、「様々な考え方ができる事柄について、幅広い情報を基に自分の考えをまとめ、発表したり討論したりすること」への解説(再掲)に次のように記されていることを考えると、謎は一層深まる。

社会生活において直面する事柄は、一つの考え方に集約できることばかりではない。そこで、ここでは「様々な考え方ができる事柄」を話題として取り上げることを示している。そして、そのような事柄について、「幅広い情報を基に自分の考えをまとめ」ることとしている。このことは、自分の考えを相対化し、異なる立場や考え方に思いを巡らし、反論を想定することにもつながる。

「発表」や「討論」をする際には、必ず具体的な相手が存在し、その相手に向かって言語活動を行う。そこで、相手の立場や状況などを把握して、自分の考えを分かりやすく伝えることができるよう工夫する必要がある。同時に、聞き手も、論点の明確さ、主張や論拠の妥当性、例示の適切さなどに注意しながら、相手の話を聞くことが大切である。話し手と聞き手とが対等に意見を交換し合う討論だけでなく、発表の場合でも、話し手に対して、聞き手が聞き返したり尋ねたりする学習を適宜組み込む必要がある。相手意識を明確にし、話し手と聞き手双方の交流の中で学習が効果的に進むよう配慮することが大切である。(p. 42;下線は筆者による)

このように見て来ると、高等学校の国語科の中での「討論」の扱いが軽過ぎるのではないかという気がしてくる。このことは中学校と高等学校で「討論」の出現回数が同じであることからも裏付けられているように思う。噛み合った議論の仕方を学ぶこと―即ち、きちんと相手の論拠を質すような質問の仕方、そのような質問に対しての応じ方を学習すること―から、知識のリストではない科学リテラシーにつながる学びが始まるとはいえないだろうか。そして、そのような質疑応答を繰り返していく中で、「正解のない智」というものの存在を知ることが、科学の不確実性や蓋然性への理解へとつながっていくのではないだろうか。

今回検討したのは国語の学習指導要領のレベルであり、実際の授業実践はおろか、その前提となる教科書の検討も行っていない。その意味では「お題目」の検討に留まっているという大きな限界はある。しかしながらそれでも、基盤として意見一致の指向をもつ国語教育の中だけで「論破されて得る智」を扱うのはやはり困難であろう。科学的リテラシーを育む上で、討論を行うことが必要なのであれば、「数学」、「理科」、そして「総合的な学習の時間」の中に、もっと積極的に討論を取り入れることによって、科学的リテラシーを育むことが必要なのではないだろうか。そのことが、ひいては国語科の授業を変えることにもつながる可能性もある。

かなり長期的な視野に立った話にはなるが、2030年までを視野に入れるのであれば、この先15年間で教育のカリキュラムを変えていくことは十分可能であろう。そしてそのように教育が変われば、日本の社会でのコミュニケーションスタイル自体にも影響が及ぶであろう。そうなればまた日本の科学的リテラシーのあり方も変わってくるかもしれない。

 


 

参考文献

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石井敏(1996)「対人関係と異文化コミュニケーション」古田暁(監修)、石井敏・岡部朗一・久米昭元(著)『異文化コミュニケーション:新・国際人への条件[改訂版]』第6章(pp. 121-140)有斐閣.

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岡田敬司(1998)『コミュニケーションと人間形成:かかわりの教育学II』ミネルヴァ書房.

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奥村隆(2009)「教育というコミュニケーション」長谷正人・奥村隆(編)『コミュニケーションの社会学』第12章(pp. 231-250)有斐閣.

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牛頭哲宏・森篤嗣(2012)『現場で役立つ小学校国語科教育法』ココ出版.

船津衛(1996)『コミュニケーション・入門』有斐閣.

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文部科学省(2008)『中学校学習指導要領解説 国語編』http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2014/04/15/1234912_2_1.pdf(2014年8月4日参照).

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文部科学省(2010[6])『中学校学習指導要領』http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/chu/__icsFiles/afieldfile/2010/12/16/121504.pdf(2014年8月10日参照).

吉武正樹(2011)「コミュニケーション能力と言語教育」板場良久・池田理知子(編著)『よくわかるコミュニケーション学』第7章第5項(pp. 138-139)ミネルヴァ書房.

渡部淳(2013)「教育コミュニケーション」石井敏・久米昭元(編集代表)『異文化コミュニケーション事典』(pp. 38-39)春風社.

Common Core State Standards Initiative (2010). Common Core State Standards for English Language Arts & Literacy in History/Social Studies, Science, and Technical Subjects. http://www.corestandards.org/wp-content/uploads/ELA_Standards.pdf  (2014年8月3日参照).

Hall, E. T. (1976). Beyond Culture. Anchor Books.

 

参考資料:『国語及び歴史・社会・理科・技術におけるリテラシーのための州共通中核基準』からの抜粋

Common Core State Standards Initiative, 2010, Common Core State Standards for English Language Arts & Literacy in History/Social Studies, Science, and Technical Subjects

大学進学及び就職のための「話す・聞く」に関する基盤基準

College and Career Readiness Anchor Standards for Speaking and Listening

理解と協力

Comprehension and Collaboration

1.他人の考えに基づきながら自らの考えを明確かつ説得的に表現し、多様な相手と様々な対話及び協力が効果的に行えるよう準備し、それに参加する。

Prepare for and participate effectively in a range of conversations and collaborations with diverse partners, building on others’ ideas and expressing their own clearly and persuasively.

「話す・聞く」に関する基準 幼稚園―5年生

Speaking and Listening Standards K-5

1年生  Grade 1 students

やりとりを何度か続けながら、他人からの指摘に応じることによって、他人が話したことに付け加えて会話を行う。

Build on others’ talk in conversations by responding to the comments of others through multiple exchanges.

2年生  Grade 2 students

自分の発言を他人の指摘に関連付けることによって、他人の話に付け加えて会話を行う。

Build on others’ talk in conversations by linking their comments to the remarks of others.

3年生-5年生  Grade 3/4/5 students

多様な相手と、3/4/5年生用の話題や教材について、(一対一、少人数、教師主導型などの)様々な協力的議論に効果的に参加し、他人の考えに付け加えたり自分の考えを明確に表現したりする。

Engage effectively in a range of collaborative discussions (one-on-one, in groups, and teacher-led) with diverse partners on grade 3/4/5 topics and texts, building on others’ ideas and expressing their own clearly.

3年生  Grade 3 students

何らかの情報について話し手に対して質問したり、質問に答えたりし、適切な形で詳細や具体的説明を行う。

Ask and answer questions about information from a speaker, offering appropriate elaboration and detail.

4年生  Grade 4 students

何らかの情報について確認、追加するために、質問したり、質問に答えたりし、討論全体に寄与し、他人の発言に関連するような発言を行う。

Pose and respond to specific questions to clarify or follow up on information, and make comments that contribute to the discussion and link to the remarks of others.

5年生  Grade 5 students

具体的に質問したり、具体的な質問に答えたりして、討論全体に寄与し、他人の発言を更に発展させられるような発言を行う。

Pose and respond to specific questions by making comments that contribute to the discussion and elaborate on the remarks of others.

「話す・聞く」に関する基準 6年生―12年生

Speaking and Listening Standards 6–12

6年生-8年生  Grades 6-8            

6/7/8年生用の話題、教材、論点について、他人の考えに付け加えたり自分の考えを明確に表現したりしながら、多様な相手との様々な協力的議論(一対一、少人数、教師主導型など)に効果的に参加する。

Engage effectively in a range of collaborative discussions (one-on-one, in groups, and teacher-led) with diverse partners on grade 6/7/8 topics, texts, and issues, building on others’ ideas and expressing their own clearly.

9年生-12年生  Grades 9-12

9/10/11/12年生用の話題、教材、論点について、他人の考えに付け加えたり自分の考えを明確に表現したりしながら、多様な相手との様々な協力的議論(一対一、少人数、教師主導型など)を始めたり、効果的に参加したりする。

Initiate and participate effectively in a range of collaborative discussions (one-on-one, in groups, and teacher-led) with diverse partners on grades 9–10/11-12 topics, texts, and issues, building on others’ ideas and expressing their own clearly and persuasively.

9年生-10年生  Grades 9-10

行われている議論についてのより広いテーマや概念に関連する質問を行ったり、それに答えたりすることで対話を進める。他人に対して議論への参加を積極的に働きかける。考えや結論について、確認したり、証明したり、疑義を呈したりする。

Propel conversations by posing and responding to questions that relate the current discussion to broader themes or larger ideas; actively incorporate others into the discussion; and clarify, verify, or challenge ideas and conclusions.

多様な観点に思慮深く答え、合意点や意見の相違がある点を要約し、正当な理由がある場合は自身の視点や理解を修正、若しくは正当化し、提示された証拠や論理に照らして新たに関連付けを行う。

Respond thoughtfully to diverse perspectives, summarize points of agreement and disagreement, and, when warranted, qualify or justify their own views and understanding and make new connections in light of the evidence and reasoning presented.

話し手の見方、論理の立て方、論拠の使い方や修辞法などを評価し、論理的に誤りがあったり、論拠の誇張や歪曲があったりした場合はそれを指摘する。

Evaluate a speaker’s point of view, reasoning, and use of evidence and rhetoric, identifying any fallacious reasoning or exaggerated or distorted evidence

11年生-12年生  Grades 11-12

論理や論拠を探るような質問をしたり、そのような質問に答えたりして対話を進める。ある論点に関してすべての立場からの意見が表明されるよう注意する。考えや結論について、確認したり、証明したり、疑義を呈したりする。独創的、創造的な観点を奨励する。

Propel conversations by posing and responding to questions that probe reasoning and evidence; ensure a hearing for a full range of positions on a topic or issue; clarify, verify, or challenge ideas and conclusions; and promote divergent and creative perspectives.

多様な観点に思慮深く答える。ある論点の全ての面からの発言、主張、論拠を統合する。可能な限り矛盾を解消する。検討を深めるため、又は課題を遂行するためにはどのような追加情報が必要かを特定する。

Respond thoughtfully to diverse perspectives; synthesize comments, claims, and evidence made on all sides of an issue; resolve contradictions when possible; and determine what additional information or research is required to deepen the investigation or complete the task.

話し手の見方、論理の立て方、論拠の使い方や修辞法などを評価し、話し手の立場、前提、幾つかの考えの間の関連、言葉の選び方、強調点、話すトーンなどを評価する。

Evaluate a speaker’s point of view, reasoning, and use of evidence and rhetoric, assessing the stance, premises, links among ideas, word choice, points of emphasis, and tone used.

 

[1]Trace and evaluate the argument and specific claims in a text, distinguishing claims that are supported by reasons and evidence from claims that are not.

[2]Trace and evaluate the argument and specific claims in a text, assessing whether the reasoning is sound and the evidence is relevant and sufficient to support the claims.

[3]Delineate and evaluate the argument and specific claims in a text, assessing whether the reasoning is sound and the evidence is relevant and sufficient; recognize when irrelevant evidence is introduced.

[4]Delineate and evaluate the argument and specific claims in a text, assessing whether the reasoning is valid and the evidence is relevant and sufficient; identify false statements and fallacious reasoning.

[5]「話合い」や「話し合う」などで検索しても、小学校学習指導要領では「国語」以外では「図画工作」で3か所、「道徳」で1か所、「特別活動」の中で1か所のみ、中学校では「保健体育」で2か所、「特別活動」の中で1か所のみしか見当たらなかった。

[6]策定は2008年だが、2010年に一部改訂された。